ことばは教えなくていい?遊びと絵本で育つ子どもの「考える力」
はじめに|「たくさん教えたほうがいい」と思っていませんか?
「ことばをもっと増やしてあげたい」
「ちゃんと説明してあげないと、わからないのでは?」
子育てをしていると、こんなふうに感じることはとても自然です。
でも実は、子どもは大人が“教えたから”ことばを覚えるわけではありません。
ことばを覚える過程そのものが、子どもにとっては「考える練習」になっています。
今回は、保育・教育の現場でも重視されている認知科学の考え方をもとに、
家庭でできる「ことば」と「考える力」の育て方をお伝えします。
子どもは「意味」を教えられて覚えているわけではない
たとえば「うさぎ」。
どこからどこまでが「うさぎ」なのか、
耳?しっぽ?大きさ?――
この境界を、子どもは誰かに教えられているわけではありません。
✔ 似ているものと比べ
✔ 使われる場面を見て
✔ 何度も試しながら
覚えていきます。
たとえば「おかたづけする」。
おもちゃや食器、お片づけするものによってシーンが変わってきます。
子どもにとってはわかりにくいんですが、
自分で意味の範囲を考え、修正し、広げていきます。
だから、
単語を暗記するだけでは「使えることば」にはならない
のです。
ことばを覚える=考える力を育てること
子どもが新しいことばを覚えるとき、頭の中ではこんなことが起きています。
- すでに知っていることばとの違いを考える
- 「これは当てはまる?これは違う?」と推論する
- 文脈に合わせて使ってみる
つまり、
ことばを覚えることは、推論し、問題解決する練習そのもの。
この力は、
・算数の文章問題
・国語の読解
・将来の「考えて判断する力」
すべての土台になります。
「教え込まない」が大切な理由
つい私たちは、
「こういう意味だよ」
「答えはこれだよ」
と教えてしまいがちです。
でも、先回りして答えを与えすぎると、
子どもが自分で考える機会が減ってしまいます。
保育や教育の現場で大切にされているのは、
✨ 足場かけ(スキャフォルディング)
引っ張り上げるのではなく、自分で昇れるように足場かけをする。
つまり「考えやすくなるヒント」をそっと置くこと。
例:
数を数えていて混乱した子に
「石なら動かないんじゃない?」
これだけで、子どもは自分で考え直せるのです。
絵本が「ことば」と「思考」を育てる理由

絵本は、ことばの宝庫です。
特に
- オノマトペ(どんどん、ぐるぐる)
- 同じ動作の繰り返し
- 文脈の中で使われることば
は、子どもが意味を推論するのに最適。
研究でも、
紙の絵本を大人と一緒に読む経験が、語彙力や応用力につながる
ことが示されています。
たとえば、
『くっついた』(三浦太郎 作/こぐま社)という絵本があります。
この絵本では、動物たちが次々に「くっついていく」様子が描かれています。
実はこの「くっつく」という言葉、
子どもにとっては「犬」「りんご」といった名詞よりも、ずっと理解が難しい動詞です。
でも『くっついた』では、
- 手と手がくっつく
- 口と口がくっつく
- 鼻と鼻がくっつく
と、同じ「くっつく」でも、いろいろな場面がくり返し登場します。
そして最後は、親子のほっぺがくっついておしまい。
もし「手と手がくっつく」場面だけだったら、
それは「つなぐ」とほぼ同じ意味になってしまいます。
でも、
口と口、鼻と鼻、ほっぺ同士がくっつく様子を見ることで、
子どもは自然と、
「くっつくって、つなぐとはちょっと違うんだ」
ということを感じ取り、理解していきます。
しかもこれは、
「教えよう」としなくても、
絵本を一緒に読んで、笑って、まねっこする
そんな親子のやりとりの中で、自然に身についていくもの。
絵本は、
ことばを“覚えさせる”ためのものではなく、
ことばの意味を、体感しながら広げていくための道具なのです。
大切なのは
✔ 正しく読ませること?
✔ 最後まで読ませること?
ではなく、
「一緒に見て、感じて、やりとりすること」
です。
デジタルより大事なこと
デジタル絵本が悪いわけではありません。
ただし重要なのは、
- 子どもが受け身になっていないか
- 大人とのやりとりがあるか
という点。
学びは、社会的な関わりの中で深まります。
「一緒に」「同じものを見て」「ことばを交わす」
この時間こそが、ことばと考える力を育てます。
家庭でできる、今日からの関わり方
特別な教材や練習は必要ありません。
① 遊びの中で、ことばを使う
- 数える
- 比べる
- 前・後・先・あと
② すぐに答えを言わない
- 「どう思う?」
- 「なんでそう考えたのかな?」
③ 絵本は“学習”にしない
- 楽しいが最優先
- 子どもが主役
遊びが「お勉強」になった瞬間、学びは遠ざかります。
ウィズトイが大切にしていること
ウィズトイでは、
- 年齢だけでなく
- 発達や興味に合わせて
遊びの中で自然に考えたくなるおもちゃ・絵本を選んでいます。
「できるようにする」より
「考えてみたくなる」
その積み重ねが、
ことばの力と、学ぶ力を育てると考えています。
おわりに|ことばと考える力は一緒に育つ
ことばの力と考える力は、
右足と左足のような関係。
どちらか一方だけでは、前に進めません。
教えすぎず、放っておかず、
一緒に考える時間を大切に。
その日々の関わりが、
子どもの「生きた知識」になっていきます。
ウィズトイは、そんな子育てを応援しています。