子どもを「理解しよう」と頑張りすぎなくていい理由

子どもを「理解しよう」と頑張りすぎなくていい理由

子育てをしていると、

  • 「どうしてこんな行動をするんだろう?」
  • 「この関わり方で合っているのかな?」
  • 「発達的に大丈夫?」

と、不安になることはありませんか。

実は、保育園の現場でも、保育士たちは毎日同じように悩み、考えながら子どもと向き合っています。

この記事は、東洋大学元教授・高山静子さんの著書『子どもの把握と理解』の考え方を参考にしながら、

保育士は、どんな視点で子どもを見ているのか

をヒントに、ママ・パパが少し心を軽くして子どもと関われる視点をお伝えします。

「理解」よりも大切にされている「把握」という考え方

高山静子さんは、子どもを見るときに

  • 評価する
  • 診断する
  • 正しく分析する

よりも、「把握する」ことが大切だと伝えています。

なぜ「把握」なの?

子どもは、日々、そして一瞬一瞬で変化します。

  • 昨日できなかったことが今日はできる
  • 朝と夕方で機嫌が違う
  • 同じ遊びでも反応が変わる

そんな変化の速い乳幼児期に、

「一度理解したら終わり」

ということはありません。

だからこそ保育士は、
その場その場で子どもの姿を受け取り、関わりながら捉え続ける「把握」を大切にしています。

これは家庭でも同じです。

「ちゃんと理由を理解しなきゃ」

ではなく、

「今はこういう状態なんだな」

と受け止めるだけで、十分な関わりなのです。

なぜ保育では「把握」が重視されるのか

高山静子さんは、保育の現状について次のような問題提起をしています。

医療や福祉の専門職と比べると、保育士・幼稚園教諭だけが「把握」を十分に学ばないまま、子どもを理解することを求められているという現実があります。

  • 医師(医療)の場合:診察を行い、診断し、治療方針を決める
  • 社会福祉士(福祉)の場合:アセスメントを行い、支援計画を立てる
  • 保育士・幼稚園教諭の場合: 障害のある子どもや保護者支援についてはアセスメントを学ぶ一方で、 障害のない子どもについては、保育士一人あたりが見なければならない子どもの多さから、十分な把握をしないまま推測で理解することが当たり前になっている

高山さんは、これを

把握をせずに推測で理解するのは、 医師が診察をせずに診断し、治療するようなものではないか

と表現しています。

この視点は、保育士だけでなく、家庭で子育てをしているママ・パパにとっても大切なヒントになります。

記録に頼りすぎることの負担と危うさ

現在の保育現場では、子どもを理解する方法として、保育時間外に書かれた記録をもとに話し合うことが多く求められています。
その結果、本来保育者の専門性として最も大切にしたい、子どもの環境づくりや遊び・教材の工夫が後回しになってしまう場合があります。

また、目に見える行動だけを記録し、それをもとに子どもを理解しようとすると、十分な把握をしないまま「推測」や「思い込み」で子どもを見てしまう危険性も高まります。
記録は重要な面もありますが、日々子どもと関わる保育の中心業務は、あくまでその場での関わりと把握にあります。

保育士はこんな視点で子どもを見ています

保育士は、特別な検査をしているわけではありません。
日々の生活や遊びの中で、自然に子どもを把握しています。

① 遊ぶ姿を見る

  • どんな遊びに夢中になるか
  • 一人でじっくり遊ぶか、人と関わるか
  • 集中できる時間はどれくらいか

→ その子の「得意なこと」や「今の発達段階」を知る手がかりになります。

② 子どもの言葉を聞く

子どもの言葉は、

  • 気持ちを伝える言葉
  • 見たもの・聞いたものを再現している言葉

が混ざっています。

保育士は、

「正しく話せているか」

よりも、

「どんな世界を思い浮かべているのかな」

という視点で耳を傾けています。

③ 生活の様子を見る

  • 眠そうにしていないか
  • 食事量や食べ方はどうか
  • 体を動かす機会は足りているか

行動だけを見るのではなく、
生活全体の流れの中で子どもを見ているのが特徴です。

行動は「心」だけで決まるわけではありません

「癇癪(かんしゃく)が多い」「落ち着きがない」「言うことを聞かない」

そんな姿を見ると、

  • 心の問題?
  • 性格の問題?
  • しつけが足りない?

と考えてしまいがちです。

しかし高山さんは、
子どもの感情や行動は、非常に多くの要因の影響を受けていると指摘しています。

行動に影響する主な要因

  • 睡眠(寝る時間・起きる時間・睡眠の質)
  • 食事(糖分の摂りすぎ、栄養バランス)
  • 運動・外遊びの量
  • 映像メディア(テレビ・スマホ・タブレット)視聴の影響
  • 体調や発達の個人差
  • 大人の関わり方や生活環境

だから保育士は、

「この子の心の問題だ」

と安易に決めつけることはしません。

家庭でもできる「把握」のヒント

保育士と同じことをしなくても大丈夫です。
家庭では、次のような視点を少し意識するだけで十分です。

  • 最近よく眠れているかな?
  • 外で体を動かせているかな?
  • どんな遊びをしているときに安心しているかな?

「原因を探す」よりも、
今の状態に気づくことが大切です。

「直そう」としなくていい

高山さんは、保育の援助について

子どもの課題は「直す」のではなく「育む」もの

と述べています。

  • できないことを減らす
  • 問題行動をなくす

よりも、

  • できていること
  • 好きなこと
  • 安心して過ごせる時間

を増やすことが、結果的に成長につながります。

ウィズトイが大切にしている考え方

ウィズトイでは、

  • 子どもを評価しない
  • 発達を決めつけない
  • 今の姿をまるごと受け止める

という、保育現場の視点を大切にしています。

おもちゃや絵本は、

「できるようにさせる道具」

ではなく、

「その子らしさが自然に表れる環境」

遊びの中で見えてくる姿こそ、
子どもを知る一番のヒントだと考えています。

最後に|分からなくても、関わり続けることが大切

子育ては、つい「正解」を探そうとしてしまいます。

でも保育の現場では、

「私はまだよく分かっていない」

という姿勢こそが、子どもを大切にする第一歩だとも考えられています。

分からなくても、今日も一緒に過ごす。
それだけで、あなたは十分に子どもと向き合っています。

ウィズトイは、そんな毎日の子育てに、
そっと寄り添う存在でありたいと思っています。

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