子どもを動かすのではなく、支えるということ|保育・子育ての手立てを見直す
保育の現場では、
- なぜこのやり方をしているのか
- 本当に子どもの育ちにつながっているのか
と立ち止まって考える機会が、忙しさの中で少なくなりがちです。
今回の記事では、作業療法学博士・野藤弘幸先生が保育士向けに行った研修
「保育の手立て(生活・遊び・環境における手順と関わり)について理由と意味を学び直す」の内容をもとに、
すべての子どもに通じる理解と対応
という視点から、日々の保育やご家庭での子育てを見直すヒントを整理します。
ウィズトイが大切にしている「おもちゃや絵本を通した育ち」とも重なる内容です。
「手立て」とは、子どもを操作することではない
研修全体を通して繰り返し語られていたのは、
手立てとは、子どもを思い通りに動かす工夫ではなく、
子どもが自分でわかり、選び、取り組めるようにするための支えである
という考え方です。
生活・遊び・人との関わりすべてにおいて、
- 見通しがもてること
- 意味がわかること
- 安心できること
が、子どもの主体性の土台になります。
生活の場面にある「育ちの意味」
決まった時間・場所で食べる意味
食事の時間や座る場所がある程度決まっていると、
子どもは
- 「お腹がすいたな」
- 「もうすぐごはんだな」
と自分の体の変化に気づきやすくなります。
これは、
✔ 自分の体の感覚を知る
✔ 生活の見通しを持つ
という、とても大切な力につながります。
「いただきます」「ごちそうさま」はなぜ大切?
挨拶はマナーだけではありません。
- 今から何が始まるのかを知らせる
- 気持ちを切り替える
- 食べ物や作ってくれた人への感謝を知る
社会とのつながりを感じる入り口でもあります。
食べる量は、子どもと一緒に決めていい
「全部食べなさい」よりも、
「今日はどれくらい食べられそう?」と聞いてみる。
大人と相談しながら量を調整する経験は、
✔ 自分の体を大切にする
✔ 人と相談する
力を育てます。
食事は、身体だけでなく社会性と安心感を育てる時間でもあります。
おむつからパンツへは “タイミング” より “準備”
大切なのは、
- 出そうな感じがわかる
- 濡れると不快だと感じる
体の感覚に気づくこと。
「パンツにすること」自体がゴールではありません。
トイレで学ぶ、プライバシー
トイレは人前でするものではない。
それを知ることは、
✔ 自分を守る
✔ 相手を尊重する
ことにつながります。
午睡(お昼寝)は “眠らせる” ためじゃない
睡眠や休息は、
一日のリズムを体で覚えるためのもの。
眠れなくても、
- 横になる
- 静かに過ごす
それだけでも十分な経験です。
場所が決まっている安心感
「ここは寝る場所」と体が覚えることで、
自分で気持ちを落ち着かせる力が育ちます。
安心できる環境が、
子ども自身の「落ち着く力」を育てます。
服をたたむ、靴をそろえる理由
- 次に使いやすい
- 周りの人が困らない
これは、
✔ 自分のため
✔ 人のため
の両方を考える経験です。
着替えの中で育つ指先の力
ボタンやファスナーは、
遊びの中で少しずつ慣れていけばOK。
「できない=ダメ」ではありません。
「清潔にすること」だけが目的ではなく、
自分と他者を尊重する感覚が育ちの中心にあります。
遊びは「生きる練習」
おもちゃの「置き場所」がある意味
- どこにあるかわかる
- 自分で選べる
それだけで、子どもは安心します。
情報(掲示物・物)が多すぎると、
逆に落ち着いて遊べなくなることも。
環境は、
保育者の言葉以上に多くを伝えます。
遊びの中で、子どもは物語をつくっている
おもちゃ・自然物・絵本を組み合わせることで、
子どもは
✔ 想像する
✔ つなげる
✔ 広げる
力を育てています。
大人と遊ぶ=ずっと一緒、ではない
一緒に遊ぶ → 見守る → ひとりで遊ぶ
この流れが、
✔ 自立
✔ 友だちとの関わり
につながります。
人との結びつきは、日常の言葉から
共感される経験が、共感する力になる
「悲しかったね」
「悔しかったね」
気持ちを代弁してもらう経験が、
人の気持ちを想像する力を育てます。
「ごめん」「ありがとう」は心をつなぐ言葉
ルールを守るためだけでなく、
人と一緒に生きる感覚を学ぶ言葉です。
どこまで手伝う? の正解はひとつじゃない
大人は、子どもにとってまねをする存在。
何度同じことを伝えてもいい。
「まだできない」ではなく、
「今、取り組んでいる途中」
どこまで?は、子どもによって違います。
手を引っ張らず、
言葉を手渡すように関わることで、
子どもは
✔ 自分でやる喜び
✔ 人に助けを求める力
を身につけていきます。
ウィズトイとして伝えたいこと
この研修で語られていた内容は、
発達に特別な配慮が必要な子どもだけでなく、すべての子どもに通じる視点
でした。
ウィズトイでは
- 子どもが「わかる」「選べる」「取り組める」
- おもちゃや絵本の背景にある意味を大切にする
そんな関わりを、保護者の方と一緒に考えていきたいと考えています。
日々の保育や子育てを、
少し立ち止まって見直すきっかけになれば幸いです。
※この記事は、作業療法学博士・野藤弘幸先生による保育士向け研修内容をもとに、ウィズトイの視点で整理・編集したものです。

